「酒は百薬の長」は嘘?理由を調査!適量ならいいと信じたい

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「酒は百薬の長」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

酒は少量なら健康になると以前は言われていました。しかし、どうやらお酒は少量でも健康被害があるという論文が出ているのです。

えー!お酒って少量なら体いいんじゃないの?

調べる前はそう思っていました。色々な資料を見ていく中で、酒は百薬の長は嘘だったのか、、、と知りました。結論から言うと、酒は毒でしかない、ってのが考え的には近いらしい。

本記事では、酒は百薬の長は誰が言ったのか、意味や由来から、日本人の適量はどれくらいなのか、過去のデータを用いながら、解説していきます。

「酒は百薬の長」は誰が言った?意味や由来

「酒は百薬の長」の読み方は「さけはひゃくやくのちょう」です。

「酒は百薬の長」とは、元をたどれば、中国の言葉と言われています。中国の薬といえば、漢方薬というイメージがついていますが、中国古典では酒関係の話がいくつかあります。

「酒は百薬の長」は誰が言ったのかというと、由来は、歴史書「漢書」の「食貨志第四下」からきたという諸説があります。

この中で出ているのが、「塩は食肴の将、酒は百薬の長、嘉会の好、鉄は田農の本」です。

塩や酒は生活する上で重要なものだからこそ、国で販売をするために、理由づけとしてあげられた文言であり、医学的な意見として書かれたわけではないようです。

また、「酒は百薬の長」といえば、「されど万病の元」という言葉を聞いたことがある方もいるかもしれません。

この言葉は、兼好法師が著した「徒然草」の175段の「百薬の長とはいへど、万の病は酒よりこそ起れ」から来ているという諸説があります。

これが日本では、「適量なら、飲酒は健康いい!」という意味で、「酒は百薬の長、されど万病の元」というフレーズが出来上がりました。

実際に故事ことわざ辞典によると、「適量の酒はどんな良薬よりも効果がある」とお酒をリスペクトした意味になっています。

※諸説は複数あると思います!

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実際に「酒は百薬の長」なのか?

言葉として中国から変化してきて定着したフレーズですが、実際に日本でもこの言葉は定着しています。

酒は百薬の長と言っても、適量ならば!という条件があるようです。

実際にお酒の適量を飲むことで、アルコールが悪玉コレステロールの増加を抑えてくれ、善玉コレステロールが増加する、血管内の血液がつまりづらくなることで、虚血性心臓病(心筋梗塞や狭心症)などを予防する効果もあると言われています

お酒と健康「Jカーブ効果」

高血圧・脳出血・脂質異常症・乳がんなどは飲酒量と健康リスクが正比例の関係にあります。肝硬変は飲酒量が低いうちはリスクの上昇がほとんどないですが、ある一定値まで行くと、急激にリスクが高まります。

これらと比べると、虚血性心疾患・脳梗塞・2型糖尿病などは、非飲酒の人に比べると、少量の酒を飲む人の方が健康リスクが低くなります。このパターンを「Jカーブ」と言われています。

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お酒の量と死亡率の関係

お酒を飲むことで死亡率が下がると言われています。男女ともに1日平均のアルコール消費量が23g未満だと、最もリスクが低くなるようです。

海外のデータでも、お酒はほどほどの量であれば、死亡リスクは減り、それ以上だと高まる「Jカーブ効果」があり、少量の飲酒が心疾患のリスクを下げ、全体の死亡リスクも1日あたり20gほどまでは下がる傾向にあると言われていました。

海外の14の研究をまとめて解析した結果。適量を飲酒する人は死亡リスクが低い傾向が確認できる。(Holman CD,et al. Med J Aust. 1996;164:141-145.)

日本人が1日に飲んでいいお酒(アルコール)の量はどれくらい?

厚生労働省では1日に20gの純アルコールを摂取していいと書かれています。

お酒の種類アルコール度数単位
ビール5度中びん1本500ml
缶チューハイ5度1.5缶約520ml
ウイスキー43度ダブル1杯60ml
ワイン14度1/4本約180ml
焼酎25度0.6合約110ml
日本酒15度1合180ml

ビールなら中瓶1本、缶チューハイ1.5缶、が適量と言われていました。

LANCET2018年4月の英国の研究によれば、死亡リスクを高めない飲酒量は純アルコールに換算すると、週に100gが上限と言われています。100gを超えると150gまでは緩やかに上がり、150以降は急上昇しています。

国際アルコール薬物研究誌「JSAD」の2016年3月号によれば、適量は10日ほどにアルコール1ドリンク未満、1ドリンクは医療用語で約10gのアルコール量、ビールなら中瓶の半分以下、日本酒であれば、0.5号以下になると書かれていました。

どの資料をアルコールの適量にすればいいのかは難しそうです。お酒の適量なんてものはない!という考えもあります。

お酒(アルコール)は少し飲むのもダメ!?

「百薬の長」とも言われ、お酒の「Jカーブ効果」などが以前は出ていたのにも関わらず、現在では、お酒(アルコール)は少しの摂取でも、病気のリスクが上がる!ダメだ!と言われているようなのです。

2018年4月の医学雑誌「LANCET」に「脂肪リスクを高めない飲酒量は、純アルコールに換算すると週に100gが上限である」と報告されました。
その後、同年8月に「195の地域で23のリスクを検証した結果、飲酒量は基本的にゼロがいい」と論文が掲載されました。

世界的にも権威のある「LANCET」から出たことによって、ネットニュースでも大きく取り上げられたそうです。

少量飲酒でも体にはよくない

飲酒と健康についての研究をしている方に日経ビジネスの記事でインタビューをしているのですが、筑波大学の吉本尚准教授はこう語っています。

 「この論文は、1990年~2016年にかけて195の国と地域におけるアルコールの消費量とアルコールに起因する死亡などの関係について分析したものです。この論文では最終的に、健康への悪影響を最小化するアルコールの消費レベルは“ゼロ”であるとしています。つまり、全く飲まないことが健康に最もよい、と結論づけているのです」(吉本さん)
引用:https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00030/120300068/?P=2

以前は少量の摂取であればJカーブ効果があると言われていたのにも関わらず、なぜ「ゼロ」がいいと言われるようになったのか。

LANCETの論文自体にも、限定的に、虚血性心疾患(心筋梗塞)などであれば、発症リスクは下がるという結果が出ているのだそうです。しかし、他の病気や疾患である乳がんや結核、その他に対しては、飲酒がリスクを高めるために、相殺され、結果的にゼロがいいよねーとなるみたいです。

とはいえ、1つの論文なので、結論ではありませんが、この論文の登場によって、多くの人が影響を受けたのは確かなようです。

そもそも日本人はアルコールに弱い

ちなみに、そもそも日本人は「ALDH(アルデヒド脱水素酵素)」の一種「ALDH2」を持っていないか、働きが弱い人種と言われています。その割合は、日本人のうち44%を占め、中国人は41%、韓国人は28%、アジアはお酒に弱い人が多いみたいです。

アセドアルデヒドは二日酔いの原因になる成分ですが、これを分解する酵素が少ない(もしくは持っていない)ために日本人は二日酔いをしやすいとか。

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お酒を飲みたい人がするべきこと、できること

お酒の適量は週100g以下、適量なんてものはない、なんて言われても、お酒が飲みたいという気持ちに変わらない人もめっちゃ多いはずです。(私も)

自分なりにお酒の記事を見て、考えましたが

  • リスクのない生き方はない
  • 飲みすぎるならハイリスクは否めない
  • ストレスを溜め込むよりかはましな気もする
  • アルコール依存症まで行くのであれば考えもの
  • 娯楽の一種としてたまに飲むであればいいと思う

と思いました。

お酒に限らず、およそ全ての娯楽、タバコだったり、ギャンブルだったり、ある程度リスクは少しはあるかと思います。もはや生きている限りはリスクがあるといいますか。

酒は毒でしかない!って言う人もいるかもしれませんが、

もちろん、飲み過ぎの毎日はハイリスクに違いないのですが、お酒を飲むことによって、普段とは違う自分になれる人だっているはずです。そうしてストレスが発散できる人もいるでしょう。

ストレスがたまりすぎて健康を害するのはよくないが、ストレスを消し去るためにアルコールに依存するのは考えものです。そもそもの生活を見直す必要があるでしょう。

あくまでも、自分でコントロールできる「娯楽」の一つとして、お酒を嗜めるといいかもしれません。

まとめ!「酒は百薬の長」は時代遅れかも

「酒は百薬の長」は嘘であることはほぼ確定かもしれません。少なくとも百薬の長ではありませんね。美味しいけど。w

昔は特定の病気や疾患に対しては少量飲んでいた人の方が発症率が低かったですが、現在では、他の病気の発症率が少量でも上がるために、結局は相殺され、飲まない方が統計的に見たら健康だよね?ということがわかっているらしいです。

とはいえ、お酒は人間の文化に馴染んでいるものなので、全く飲まない!というよりかは、自分の体やペースに合わせて飲んでいけばいいんじゃないかな?と現時点では思います。

参考資料

公益財団法人長寿科学振興財団/酒は百薬の長は嘘か?本当か?
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/koureisha-shokuji/tyojyu-osake.html
日経ビジネス/「酒は百薬の長」のはずでは? 少量でもNGの最新事情
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00030/120300068/
朝日新聞デジタル/「酒は百薬の長」は本当か 否定されてきた飲酒の「Jカーブ効果」
https://www.asahi.com/articles/ASQ2W3FRXQ2WTIPE003.html
酒は百薬の長 | 大和薬品株式会社
http://www.daiwa-pharm.com/info/kakugen/465/
「お酒は少しなら体にいい」がちょっと違うワケ 「酒は百薬の長」はもはや時代遅れ | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
https://president.jp/articles/-/29999
Alcohol use and burden for 195 countries and territories, 1990-2016: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2016 – The Lancet
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(18)31310-2/fulltext
アルコール|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b5.html
休肝日 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/alcohol/ya-063.html
お酒の代謝能力の違い|人とお酒のイイ関係|アサヒビール
https://www.asahibeer.co.jp/csr/tekisei/health/mechanism.html

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